光と物質の相互作用
光が物質と相互作用する場合、マクスウェル方程式を満たさなくてはならず、これは物質表面での境界条件に関係してきます。下図のように入射光は物質の表面で反射および屈折します。入射角(θi)と反射角(θr)は等しくなり、物質内に進入する光は次式で与えられる角度θtで屈折します。
図4:スネルの法則による光の反射と屈折。
物質同士の界面であっても光の一部が反射し、残りの一部が屈折するという同様の現象が起こります。入射面に平行な電場と垂直な電場とでは境界条件が異なります。そのため、光を入射面に対して直交する2成分に分けることができます。入射面に平行な電場と垂直な電場はそれぞれをp偏光、s偏光と呼ばれています。これらの2成分は独立した値であり、分離して計算することができます。物質との界面でのそれぞれの反射率と透過率はフレネル方程式によって記述されます。
薄膜および多層構造には複数の界面が存在しますが、各界面でフレネル方程式を適用できます。反射光および透過光をすべて正確に決定するためには、各成分の相対的な位相を追えることが重要になります。このために、薄膜の位相速度を次のように定義します。
複数の光が重ね合った場合、それぞれの光の相対的な波長に依存して干渉が引き起こされます。下図は反射光とそれぞれに対応するフレネル係数の重ね合わせを表しています。
図5:入射光が各界面で反射または屈折して、薄膜内で複数の光路が生じている。光の干渉は電場の相対的な位相と振幅に依存する。フレネルの反射係数および透過係数から、入射光に対する応答を計算することができる。