薄膜の膜厚

薄膜の膜厚は、膜表面からの反射光と膜を透過して基板界面で反射する光との干渉により評価することができます。膜表面からの反射光と基板界面からの反射光は干渉を起こし、相対的な位相に応じて強め合うまたは弱め合います。この干渉した光には振幅と位相の情報が含まれています。Δからの位相情報にはサブモノレイヤーの膜厚にまで感度があります。下図はSi基板上の非常に薄いSiO2から得られた反射強度とエリプソメトリーのデータを比較した例です。反射強度では2種類の極薄膜から得られるデータがほとんど同じであるのに対して、Δは大きな変化を示しています。

図:9種類のSi基板上の薄い酸化膜から測定された反射強度(左)とΔ(右)から、Δには強度測定では測定不可能である名のスケールの高い感度があることがわかる。

エリプソメトリーは一般的にサブnmから数µmの膜厚の範囲で使用されます。
膜厚が数十µmよりも厚くなると、干渉により生じるデータの振動が増加しすぎるため、より長波長の赤外領域を除いては解析が困難になります。この場合、通常とは異なる解析手法を用いる方が好ましいです。

また、膜厚を測定する場合には膜内を通過する光が一部でも膜表面に返ってくる必要があります。そのため、吸収をもつ試料の場合、光学的手法を用いた膜厚測定は薄膜または吸収が一部にしかない膜に限定されます。この制約は吸収の小さい波長領域での測定により解決することができます。例として、有機膜は紫外と赤外領域に強い吸収をもちますが、可視領域では透明です。全波長に強い吸収がある金属に関しては、一般的に膜厚が求められる膜厚は100nmが最大です。

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